去年から今年にかけて、パリそしてフランス全国で起こったさまざまな出来事が日本のニュースで紹介されているのを見て、ちょっと怖いなと感じた方も多いかもしれません。旅行をキャンセルするべきかどうかで迷った方もいたでしょう。でも、実際のところはどうなのでしょうか。パリに暮らす日本人スタッフが、ほんとうのところをお伝えしたいと思います。

確かに去年は「暴動」、今年は「学生デモ」と、フランスではいやな話題が続きました。警官とデモ隊が衝突したり、バスティーユ広場に大勢の若者が集まっていたり、路上の自動車が燃えていたり、かなりショッキングな映像が日本でも紹介されたようですね。

実は私の家族からも、心配する電話がかかってきました。そのときの会話を再現してみましょう。

母:もしもし、あなた大丈夫なの?
私:え、何の話?
母:学生のデモでフランスが大変なことになってるって。
私:ああ、そうそう、そうなのよ。それがどうかした?
母:昨日のニュースでも、激しそうな学生デモの様子とか、自動車が燃えてるとことか、そんなのを映してたからお母さん心配で。
私:うんうん。
母:うんうん、ってあなた、なんでそんなに呑気なの。
私:いやあ、確かに学生がデモやってたよ。でもそれ昨日のことなんだけど。
母:え、それじゃあもう終わっちゃったわけ?
私:そりゃそうだよ。政府のやり方に不満を持った学生が、外で集まって怒りをぶちまけて、終わったら家に帰って、今頃はのんびりTVでも見てる・・・っていうそれだけのこと。
母:でも車が燃えてたわよ。TVで見たもの。
私:TVの情報ほどあてにならないものはないって。車が数台燃えてたからって、戦争みたいに言わないでよー。
母:まあ、あなたが大丈夫っていうなら良かったけどね。

さらに驚くべきことに、日本に住む友人からも電話がかかってきました。
友人A:もしもし、Aだけど
私:おお久しぶり。
友人A:パリのデモのニュース見て、心配になってさあ。
私:ああ、あれは確かに大変だったわ。
友人A:やっぱりかなり大混乱だったんでしょ?
私:え?そうじゃなくて、車で通勤するのが大変だったのよ。なにせ、バスティーユ広場の周辺がものすごい渋滞してたからね。
友人A:でも、デモ隊はどうだったの?TV見てると警官にかなり痛めつけられてたみたいだったよ。
私:まず、別に一日中やってたわけじゃなくて、夕方やってたんだよね。そのとき偶然近くにいたけど、まあ普通の騒々しいデモだったよ。警官が来てどうこう、っていうのはほんの1〜2時間のことね。
友人A:じゃあ炎上してた車は?
私:ほんの少しだよ。去年の11月のほうが多かった。
友人A:じゃあ大丈夫なんだ。で、今はどうなってるの?
私:みんな家に帰って、何事もなかったかのような静けさだよ。
友人A:デモはもう終わったの?
私:もちろん。今日はみんな普通に生活してたよ。
友人A:それで、日本からパリに観光に行っても大丈夫だと思う?うちの妹が計画してるらしいんだけど。
私:いやほんとに大丈夫だってば。信じられなければ、確かめに来てくれてもいいよ。

それにしても日本のTVであんなに紹介されていた激しそうなデモがあったのに、どうして今ではもう跡形もないのでしょうか?まず第一に、学生のデモは集まるのも速い分、終わるのも速いのです。さらに、TVはドラマチックな事件や事故、戦争をどうしても事実より大げさに報道したがります。また、政策に納得できないことがあると、あっという間にデモになり、一通り自分たちの主張ができればまた家に帰っていく、というのはラテン系気質をもったフランス人にとっては普通のことです。また、パリの中でデモ行進の舞台となるのはナシオン広場、バスティーユ広場、イタリー広場、レピュブリック広場のあたりが大半です。パリ中でデモが行われたような印象を持たれていたらそれも間違いです。

結局、最も残念なのは、ショッキングなニュースを求めて客観性を欠いた報道を行うメディアの影響で、「最近フランスってちょっと危ないらしい」という誤った印象を世界中の人が抱いてしまうことなのです。本当のところ、パリは安全ですのでご安心ください。もしもパリ旅行を計画中の方は、どうぞ花の都での滞在を楽しみにしていてください。

最後に、今年の4月3日にパリのさまざまな場所で撮影されたビデオクリップをご覧ください。
パリではいつもどおりの生活が続けられていることを実感していただけることでしょう。
http://media.libsyn.com/media/hotels/ballade-high.wmv

参考:Phil Chavanne Senior Editor/Paris-Eiffel-Tower-News.com