2ツ星、3ツ星、4ツ星...と、パリのホテル選びの目安とされているのがこの星の数。でも、星の数ってどんな風に決められているのかも知らないし、その上、国によっても設定が違うみたいだし、本当に星の数だけでホテルの格や質を測れるものだろうか?と不安に思っていらっしゃる方も少なくないはず。そこで、プチ・ホテル・ド・パリのスタッフが、ホテルの格付けについて詳しく解説いたします!

それではまずフランスのホテルの格付けシステムを紹介します。

【1】チェックポイントは全部で22。

【2】星の数はフランス全土すべてのホテルに共通しており、
   パリの3ツ星ホテルと地方の3ツ星ホテルを比較しても、ほぼ同じランクに相当します。

【3】法律で定められた格付けの設定に従い、一定の期間ごとにホテルを点検し星の数を決定します。

【4】リニューアルをしたホテルなどは、再度点検を依頼することも可能で、その際にも同じく
   22のチェックポイントに沿って点検されます。

【5】格付けの設定は商業目的でなく、フランスの法律に基づいたもの。
    よって、ホテルがたくさんのお金を積めば星の数を増やしてもらえる、なんて裏取引は一切ありません。


そして、フランスの格付けシステムにおいて最も注目すべき点がこちら。
星の数が表すのは「質より量」だということ。22のチェックポイントに沿って、設備の有無や部屋数、部屋の表面積などを点検していくわけですが、この時にホテルのサービスやスタッフの態度などは一切考慮されません

たとえば、浴室は広くても清潔さに関しては一切チェックされませんし、英語の話せるフロント係りはいても、その人の対応の仕方は星の数とは関係ありません。たとえ完璧な設備の4ツ星ホテルを選んでも、期待通りの素晴らしい滞在ができるかどうかは別問題です。シャワーのお湯が出ないなどと言った問題にすばやく対処してくれるかどうかも星の数では知ることができないポイントなのです。

したがって、星の数は純粋に設備のレベルを表すもので、スタッフの態度や経験、サービスの質を表しているわけではありません。もちろん、より素晴らしい設備のあるホテルは満足度も高いと言えますが、プチホテルのようなこじんまりとしたホテルでは、オーナーやスタッフのあたたかなもてなしの心も大切です。2ツ星でも、信頼のおけるスタッフに出会い、パリの常宿となる場合もありますので、星の数はあくまでも設備面の参考にしてください。


ここでは、22の中から特に重要なポイントを抜粋して紹介します。
また、Q&Aスタイルで知りたい情報をわかりやすく解説します。
すべてのチェックポイントは下のリンクでご覧ください。
http://www.paris-eiffel-tower-news.com/editorials/hotel-rating.htm(内容は英語です。)
 

★ 客室のサイズと数
★ 客室の防音設備
★ エアコン(冷暖房)設備
★ 浴室の設備とデザイン
★ 電話のシステム
★ 電気、電源の設備
★ エレベーター

★ 客室のサイズと数

Q:ホテルの客室数は?
A:2ツ星は最低7室。3ツ星は最低10室ですが、建物の構造上10室も造るのが不可能と判断された場合は、7室でも良いと法律で定められています。

Q:客室のサイズは?
A:客室の表面積は宿泊する人数とベッドの数によって定められています。*浴室の面積は含まれません。

宿泊人数 2ツ星 ★★ 3ツ星 ★★★
1人(シングル) 8u 以上 9u 以上
2人(ダブル) 9u  以上 10u 以上
3人(トリプル) 11u  以上 12u 以上
4人 14u  以上 15u 以上

ただし3人部屋、4人部屋の場合、ベッドのひとつが折りたたみ式やソファベッドであれば、最低面積がさらに1u少なくてもOKとされています。

Q:2段ベッドのホテルは許されるの?
A:2ツ星以上のホテルは通常2段ベッドを使用してはいけないことになっていますが、リゾート地のホテルなど、バカンスのシーズンのみといった、1年に数ヶ月しかオープンしていないホテルに関しては使用が許可されています。よって、パリのホテルで2段ベッドを使用している場合は、星なしか1ツ星のホテルとなります。

Q:格付けに見合った表面積を満たしていないホテルがあるのはなぜですか?
A:1986年2月に格付けシステムの法律が改変され、それ以前にすでに星付けされているところは10%以内の違いであれば良しとされています。
 

★ 防音、遮光設備

Q:雨戸やシャッターは義務付けられていないのですか?
A:シャッターや雨戸は義務付けられていません。ただし、それらがない場合は遮光カーテンをつけることを義務付けられています。

Q:上階の足音が気になるのですが、カーペットをはっていないホテルは違反ではないのですか?
A:カーペットは義務ではありませんが、ただし上階の人の足音が響くようでは2ツ星、3ツ星のランクには入れません。規定に従って、2ツ星も3ツ星も床の防音設備が義務付けられています。
また、防音設備は義務ですが、隣室の人があまりに大声で騒いだりしている場合は、防音設備ではなくその人の態度に問題があるとみなされますので、そういった場合はフロント係りに連絡して注意してもらうようにしましょう。

Q:車や人通りの激しいにぎやかな通りに面した客室の場合、二重窓や防音窓は義務付けられていますか?
A:法律では「建築の規定に従って、十分な防音設備を施すべき」としか記載されていないので、二重窓や防音窓に関する具体的な取決めは、各ホテルの建築の規定によって様々です。


★ 浴室・トイレの設備

Q:浴室に関する基本的な決まりは?
A:ランクに関係なく、すべてのホテルが水とお湯の出る水道を備えていることが義務付けられています。

設備内容 2ツ星 ★★ 3ツ星 ★★★
ビデ

シャワーやバスタブがない場合、ホテルの40%以上の客室がビデを備えていること。

シャワーやバスタブがない場合、ホテルの40%以上の客室がビデを備えていること。

シャワー室
または浴室

ホテルの40%以上の客室に備えていること。

ホテルの 80%以上の客室に備えていること。

浴室の表面積 2u 以上 2.5u 以上


★ 照明のシステム

Q:客室が全体的に暗いのですが、標準の照明度数はあるのでしょうか?
A:2ツ星、3ツ星ホテルの客室は、メインの照明が最低1つ、そして1人当たり1つのベッドスタンドをつけることを義務付けられています。明るさは1uあたり最低15ワット。3ツ星では、ベッド横のほかに、ライティングデスクの上にも専用のライトをつけることになっています。また、ベッドの横のスイッチで、メインの照明を点けたり消したりできるシステムも義務づけられています。

Q:浴室の照明は?
A:浴室は最低75ワットの電球1つ、ひげそり用の電源プラグも1つ義務付けられています。また、バスタブにつかった状態でも電気のスイッチに手が届き、点灯できることも条件になっています。

Q:廊下がとても暗いのですが、これは違反ではないですか?
A:ホテル館内の照明は、最低1uあたり10ワットと決められていて、廊下に関しては5ワットまで下げても良いとされています。


★ 電話


Q:客室から直接外へ電話がかけられますか?
A:2ツ星、3ツ星ホテル共に、公衆電話の設置が義務付けられています。電話ボックスも必ず防音設備が施されていないといけません。ただし、2ツ星ホテルに関しては、電話ボックスがなくても良いとされています。

Q:客室の電話が故障して使えないのですが。
A:2ツ星、3ツ星ホテルすべての客室の電話がホテル館内、客室同士でかけられるようになっていないといけません。故障している場合は、即座に修理する義務がありますので、そういった場合はホテル側に訴えてください。


★ エレベーター

Q:どんなホテルにもエレベーターは必ずあるのでしょうか?
A:2ツ星の場合は5階建て以上の建物はエレベーターの設置を義務付けられています。3ツ星の場合は、4階以上の建物です。
ただし、建物の構造上、エレベーターの設置が不可能と証明された場合は、例外とみなされます。

Q:エレベーターがとても狭いのですが、普通なのでしょうか?
A:不便ではありますが、法的には問題ありません。エレベーターのサイズは法で定められていませんので、各ホテルによってエレベーター内の広さが決まります。基本的にパリの建物はとても小さいので、エレベーターが狭いことが多々あります。


★ エアコン、冷暖房設備

Q:夏に3ツ星ホテルに宿泊したのですが、エアコンの設備が全くなく大変不便でした。3ツ星なのにエアコンがなくてもいいのでしょうか?
A:2ツ星、3ツ星ホテル共に、暖房設備の設置を義務付けられていますが、冷房設備はなくても良しとされています。つまり、セントラルヒーティングといった暖房のみの設備はあっても、エアコンのように冷房にも暖房にもなる設備は義務ではないということです。
フランスは地理的にそれほど暑い地域ではないので、冷房設備はまだまだ珍しく、ここ30年で徐々に取り付けられるようになってきました。まだフランス文化の一部とまでなっていないのが現状です。
暖房に関しては、すでに80年前からセントラルヒーティングが使われるようになり、各部屋ごとに暖房を置くタイプは25年ほど前から目に付くようになりました。
夏の暑い時期に宿泊される方は、予約前に「冷房が客室に設置されているか?」と問い合わせた方が無難でしょう。

Q:ホテルのサイトに「客室にエアコン完備」と記載されていたのに、いざホテルに到着したら、エアコンの付いた客室はひとつもありませんでした。
A:サイト上に「全客室にエアコン完備」と書かれていたのなら、そのホテルが嘘をついていたことになりますね。しかし、ホテルのサービスのひとつとして「エアコン設備」となっていた場合は、ホテル館内の一部にエアコン設備がある、という解釈になります。または、お客様のご要望に応じて、扇風機といった冷房設備をお貸しできるという意味も考えられます。
 

★ サービス

Q:英語を話せるスタッフは必ずいるのでしょうか?
A:2ツ星ホテルの場合、フロントに外国語をひとつ話せるスタッフがいることを義務付けられていますが、その言語が必ずしも英語であるとは限りません。3ツ星ホテルの場合は、英語は必須で、その他にもうひとつの外国語を話すスタッフが義務付けられています。

Q:2ツ星ホテルではルームサービスはあるのでしょうか?
A:いいえ、2ツ星ホテルでは義務付けられていません。ホテルによってはルームサービスを行っているところもあるので、予約前にホテルに確認されるといいでしょう。また、3ツ星ホテルは規定によって客室に朝食を運ぶルームサービスがあります。

Q:パリのホテルでは、朝食は必ずあるのでしょうか?
A:全ホテルが朝食を提供することになっています。2ツ星では原則としては朝食用の食堂で、またホテルによっては客室に運ぶことも可能です。3ツ星は食堂または客室で朝食を取ることが可能です。

Q:ランチやディナーもホテルでとれるのでしょうか?
A:2ツ星、3ツ星いずれも、ランチやディナーを提供することは義務付けられていません。4ツ星以上のホテルの場合は、レストランまたはケータリングサービスが義務付けられています。


★ 身障者への配慮と設備

Q:パリのホテルでは身障者への設備は整っていますか?
A:法律では新しく建てられたホテルに限り、入り口やエレベーターなどを身障者の方でもアクセス可能なように考慮することが義務付けられています。しかし、パリのホテルの大部分は80年以上前に建てられたものが多く、残念ながらそれほど身障者用の設備が整っていません。
地上階にも客室のあるホテルがいくつかありますので、車椅子のお客様にはそういったホテルをお薦めします。プチホテルの場合、一般的にエレベーターが狭いので、車椅子で上階にアクセスするのは難しいかもしれません。
また、浴室も基本的に手すりなどが設置されておらず、トイレも身障者用のつくりのものがほとんどありません。
設備面での不便さを、ホテルのスタッフが補助してくれます。


それでは最後に、失敗しないパリのホテル選びのコツを4つご紹介します。

1.格付けシステムの22のチェックポイントを把握する。

2.ホテルの公式ウェブサイトを見て、設備やサービス面を徹底的に調べる。

3.質問があればEメールでホテルに気軽にたずねる。

4.ホテルの名前をインターネットで検索し、クチコミ情報を集める。

はじめに説明したとおり、フランスのホテル格付けシステムは、ホテルの規模、客室数、サイズ、その他設備面に重点を置いたものです。プチホテルのような規模の小さいホテルでは、広さや客室数の点で星の数が少なくなってしまうことも多々あります。
しかし、成功するホテル選びの鍵を握っているのは、オーナーやスタッフの心意気、パリらしい素敵な中庭、個性的な客室の内装、朝食のバラエティーなど、星の数では測れない様々なポイントかもしれません。
予約前にホテルとEメールで連絡を取り合って、スタッフの対応をチェックしてみたり、客室のデコレーションや全体の雰囲気をサイトで見てみたり、またはホテル周辺のブティックやメトロを調べて、より楽しく、より満足できるホテルを選んでください!

参考:Phil Chavanne Senior Editor/Paris-Eiffel-Tower-News.com